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バックパッカーの皆さん、旅に行けない期間って悶々としてしまいますよね。

そのもやもやを晴らす方法は妄想と読書だと思います。

今回は旅へのモチベUPと旅行中の暇つぶしになるような小説を紹介したいと思います。

深夜特急(沢木耕太郎)

深夜特急(1) 香港・マカオ (新潮文庫) [ 沢木耕太郎 ]

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感想(61件)

こちらはバックパッカーのバイブルと言われるほど、その界隈では有名です。

皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

大判で三巻、小説で6巻という長編小説ですが場面の切り替わりも軽快でとても読みやすいのでサクッと読むことができます。

あらすじ


インドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗合いバスで行く――。ある日そう思い立った26歳の〈私〉は、仕事をすべて投げ出して旅に出た。途中立ち寄った香港では、街の熱気に酔い痴れて、思わぬ長居をしてしまう。マカオでは「大小(タイスウ)」というサイコロ賭博に魅せられ、あわや……。一年以上にわたるユーラシア放浪が、いま始まった。いざ、遠路2万キロ彼方のロンドンへ!

新潮文庫「深夜特急 あらすじ」 より

単なる旅行記ではない

これは個人的な意見ですが、この本は単なる旅行記ではなく「冒険小説」みたいなものだと思っています。

貧乏旅行なのにカジノに繰り出してみたり普通の旅行じゃ行かないようなところに泊ってみたりと、ノンフィクション旅行記でありながら非日常のわくわくを味わわせてくれます。

また、沢木さんからみた外国の在り方などが語られており、普段何気なく旅行を楽しんでいる僕も考えさせられるものがあります。


ヒッピーたちが放っている饐えた臭いとは、長く旅をしていることからくる無責任さから生じます。彼はただ通過するだけの人です。今日この国にいても明日にはもう隣の国に入ってしまうのです。どの国にも、人々にも、まったく責任を負わないで日を送ることができてしまいます。しかし、もちろんそれは旅の恥は掻き捨てといった類の無責任さとは違います。その無責任さの裏側には深い虚無の穴が空いているのです。深い虚無、それは場合によっては自分自身の命をすら無関心にさせてしまうほどの虚無です。

「深夜特急」著:沢木耕太郎 より

これは、沢木さんがネパール滞在中での出来事だったと思います。

長期旅行へ出ると非日常が日常になってしまい、途中から旅が旅でなくなってしまって無為に時間を過ごすということも出てきます。

その状態の極限が表されているのかもしれません。

こんなように、旅の中での人との関わりが沢木氏の視点から楽しむことができます。

筆者の成長を見守る

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沢木さんの旅は一年以上にもなるのですが、ひたすらにワクワクを求めていた東南アジアから旅の終わりが近づいてきたヨーロッパへと沢木氏の感情は変化していきます。

終わりになるにつれて、当初のようなアグレッシブなものは少しづつなくなり旅と自分の人生を見つめるようになっていきます。


旅がもし本当に人生に似ているものなら、旅には旅の生涯というものがあるのかもしれない。人の一生に幼年期があり、少年期があり、青年期があり、壮年期があり、老年期があるように、長い旅にもそれに似た移り変わりがあるのかもしれない。私の旅はたぶん青年期を終えつつあるのだ。何を経験しても新鮮で、どんな些細なことでも心を震わせていた時期はすでに終わっていたのだ。


「深夜特急」著:沢木耕太郎 より


私の旅がいま壮年期に入っているのか、すでに老年期に入っているのかはわからない。しかし、いずれにしても、やがてこの旅にも終わりがくる。その終わりがどのようなものになるのか。果たして、ロンドンで《ワレ到着セリ》と電報を打てば終わるものなのだろうか。あるいは、期日もルートも決まっていないこのような旅においては、どのように旅を終わらせるか、その汐どきを自分で見つけなくてはならないのだろうか……。
 この時、私は初めて、旅の終わりをどのようにするかを考えるようになったといえるのかもしれなかった。


「深夜特急」著:沢木耕太郎 より

沢木氏の中での「終わりたくないけど終わらせなくてはいけない」という感情が渦巻いているのでしょう。

旅だけでなく、進学や就活でも似たようなきぶんになると思います。

モラトリアムを終わらせたくないけど終わらせなくてはいけないという気分の大学生たちにも是非お勧めしたいです。

行かずに死ねるか(石田ゆうすけ)

行かずに死ねるか! 世界9万5000km自転車ひとり旅 (幻冬舎文庫) [ 石田ゆうすけ ]

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感想(15件)

こちらもかなり有名ではないでしょうか?

「深夜特急」ではバスを移動手段としたのに対して、こちらでは「自転車」を移動手段としています。

アラスカからスタートしアメリカ大陸・アジア・ヨーロッパ・アフリカと世界各地を旅した石田ゆうすけさんの体験談が語られています。

あらすじ


「平穏な人生?それが運命なら自分で変えてやる!」そう決意してこぎだした自転車世界一周の道。だが、砂漠地帯で拳銃を持った強盗が―!身ぐるみはがされた後も疾走し、出会いと別れを繰り返しながら駆け抜けた七年半の旅。笑えて泣ける、大興奮紀行エッセイ。

幻冬舎文庫「行かずに死ねるか!」あらすじ より

自転車で世界一周(ネタバレあり)

LCCなどにより一昔前よりも世界一周が気軽にできるようになってきていますが、「自転車」でという人は今でもそう多くはありません。

自転車の旅だからこそ出会えるひとや出来事がぎっしり詰まっています。

そして、僕がこの小説が好きなのは、「深夜特急」でもそうでしたが、人との触れ合いが温かみをもって書かれていることです。

その中でも、キノコ売りのおじいさんの話がすごく好きです。


「ポーランドでは、村人たちが森でとったキノコを道路脇に並べて売っていて、これがすごく美味しかった。なので、毎日のように買って自炊していました。そんなある日、片足のないキノコ売りのおじいさんに会ったんです。ちょっと意外でした」
というのも、石田さんはその数日前に、首都・ワルシャワの路上で障がいを持つ人をたくさん見てきたから。
「みんな物乞いをしているんです。自分の障がいを人目にさらして。貧困国ではよく目にする光景ですが、1997年当時のポーランドは、その数がすごかった。路地の1本は彼らで埋め尽くされているほどでした。それを目の当たりにしてきた直後だったので、片足のないおじいさんがキノコを売っているのを見たとき、なにか胸に響くものがあったんです」
しかし、石田さんがキノコ代のコインを差し出すと、「ノー!」と拒絶されることに。「もっと金を出せということか?」と思い、さらにコインをプラスしたそうです。すると、おじいさんは激しく怒り出したとか。
「怒りながら、自分のポケットからお札を出して僕に見せつけてきたんです。これだけの額を出せってことかな、とだんだん怖くなってきました。そうしたら、おじいさんはキノコを大量に袋に詰め込み、僕の前に突き出してきて、ひとこと、『プレゼント』と言ったんです」
驚いておじいさんを見返した瞬間、「ハッとしました」と石田さん。
「おじいさん、顔は仏頂面のままなんですが、目にはすごく温かい色が浮かんでいたんです。そのとき、すべて合点がいきました。さっきから怒った口調で言っていたのは、『お前のような外国から来た貧乏旅行者からは、金は受け取れない』ということだったんだ、と。そして、自分のお札を見せた行為は『自分はこの通り、金を持っている、物乞いじゃない』というアピールだったんだ、と。体中が熱くなりました。おじいさんは自分の命に誇りを持って、毅然と生きている…と、感じたんです」


〈旅行作家・石田ゆうすけ〉の自転車世界一周から学ぶ、記憶に残る旅の秘訣  より

実際、貧しい国に行くと物乞いをよく目にすると思います。

しかし、そんな人ばかりではなく 「自分の命に誇りを持って、毅然と生きている」人もいる。

こういうことばかりは、実際に行ってみた人にしかわからないことです。

自転車旅だからこその大自然

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石田さんは自転車で世界一周を目指しているので、大自然の中を突き進んでいきます。

日本の大自然もいいですが、海外の大自然はスケールが段違いです。

一緒に自然の中を走っている感じがして、僕は、アウトドアしたくなりました(笑)

その中でも、石田さんがユーコン河を下るシーンが特に大好きです。

 河は流れが止まり、湖のようになった。広大な水面は鏡のようにピンと張りつめている。音のない世界。パドルをこぐピチャ、ピチャ、というという音だけがくっきり浮かび上がる。パドルを止めると、静寂がスッと霧のように降りてきて、世界を包み込む。その静けさには息の詰まるような感じがあった。ひとりでずっとここにいると、しまいには発狂するんじゃないかと思えるような圧迫感があった。

「行かずに死ねるか!」著:石田ゆうすけ より

この時は自転車ではなくカヌーで移動しているのですが、「本当に静かできれいな所なんだろうなあ」と妄想ばかりが膨らんでいきます。

是非死ぬ前にユーコン河下りをしてみたいです。

シッダールタ(ヘルマン・ヘッセ)

シッダールタ (新潮文庫) [ ヘルマン・ヘッセ ]

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こちらは、「車輪の下」などで有名な「ヘルマン・ヘッセ」さんの本です。

名前の通り「シッダールタ」の本なのですが、史実を書いた本ではなくヘルマン・ヘッセが作った想像のシッダールタのお話です。

あらすじ

シッダールタとは、釈尊の出家以前の名である。生に苦しみ出離を求めたシッダールタは、苦行に苦行を重ねたあげく、川の流れから時間を超越することによってのみ幸福が得られることを学び、ついに一切をあるがままに愛する悟りの境地に達する。———成道後の仏陀を讃美するのではなく、悟りに至るまでの求道者の体験の奥義を探ろうとしたこの作品は、ヘッセ芸術のひとつの頂点である。

新潮文庫「シッダールタ」あらすじ より

仏教の話ではない

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タイトルは「シッダールタ」となっているので、仏教の何たるかを説くものに見える人もいるかもしれませんが、そうではありません。

主人公のシッダールタが悟りを開くまでをヘッセが想像でストーリーにしたものです。

タイトルから想像する「仏教感」はあまりなく、どちらかというと世俗的な生活をしているシーンが多く見られます。

難しい仏教の話は一切出てこないので、気軽に読めると思います。

悟りを開くために旅に出る

これが何で「旅好きにおススメ!」なのかというと、シッダールタが悟りを開くために旅に出て街を渡り歩くというストーリが入っているからです。

修行僧や商売人などいろいろな身分となり生きていきます。

われわれバックパッカーが「沈没」しているときと似たような状況・感情で「あー、わかるわー」みたいな感じになります。

彼は、樹木を、星を、動物を、雲を、にじを、岩を、雑草を、花を、小川を、川を、朝の草むらにきらめく露を、青く薄青く連なるはるかな高い山を見た。小鳥は歌い、ミツバチはうなった。風は田のおもてを銀色に吹いた。そのすべてが、多様多彩で、常に存在していた。

「シッダールタ」著:ヘルマン・ヘッセ より

こんなにかっこいい感じではありませんが、小さい村なんかで沈没しているときはこんな気分になって穏やかになってます(笑)

旅のラゴス(筒井康隆)

旅のラゴス改版 (新潮文庫) [ 筒井康隆 ]

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「時をかける少女」などで有名な筒井康隆さんの作品の一つです。

もしかしたら読んだことある人も多いかもしれませんね。

今までの三冊とは違い、この作品はSF作品となっています。

あらすじ

 北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人々が超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団移動、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か?異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。

新潮文庫「旅のラゴス あらすじ」 より

目的はない

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あらすじには「 生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か? 」とありますが、最後の最後まではっきりした理由は明かされません。

「人生は旅」といろんな場面で謳われていますが、その言葉を体現したような一冊です。

かくも厖大な歴史の時間に比べればおれの一生の時間など焦ろうが怠けようがどうせ微微たるものに過ぎないことが、おれにはわかってきたからである。 人間はただその一生のうち、自分に最も適していて最もやりたいと思うことに可能な限りの時間を充てさえすればそれでいい筈だ。

「旅のラゴス」著:筒井康隆 より

「旅のラゴス」のなかで、最も人気のある言葉なんじゃないかなと思います。

普通の旅行とは違い、人生をかけて何十年と旅をしている主人公の姿を見ているときっと旅に出たくなるでしょう。

未発達な世界

あらすじにあるように、高度な文明が失われた世界の話です。

旅好きの中には「ヨーロッパ・アメリカ」が好きという人と、「アジア・アフリカ・南米」が好きという人がいると思います。

アジア・アフリカなどの「発展途上国」が好きという方には、ドンピシャの世界観なのではないでしょうか?

おれたちは酒場を出た。石造りの家が建てこんでいて、壁に凭れた酔漢がいたるところにいた。野良犬を抱いて寝ているやつもいた。戸口の陰に二、三人が立ち、ひそひそ話をしていたりもする。

「旅のラゴス」著:筒井康隆 より

この文を読むと、僕なのかでは完全に「インド」か「トルコ」で再生されます。

どっぷり妄想につかりながら読むことができて物凄く好きな本の一冊です。

まとめ

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いかがでしたか?

旅に出かけたくなったら、是非、これらの本で妄想して晴らしてください。

他にも旅本を読みたくなった方はこちらも観てみてください。

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